開催国最優秀賞木更津市立 清見台小学校

パラリンピックについて学ぶことで児童の障害に対するイメージを変えるだけでなく、「共生社会の構築」へと児童の学びをつなげるため、計画的かつ効果的に実践を行いました。周囲を巻き込みつつ、児童の自主性を引き出しながら、学校や身の回りの社会のバリアフリーや共生社会について深く考えました。

取り組みのポイント

障害当事者との交流をバリアフリーについて考える機会に

『I’mPOSSIBLE』を使用した授業で児童が校内のバリアフリーについて考えた後、当事者の方を学校に招き、意見を聞きながら一緒に校内を見直す機会をつくりました。児童が自らの考えをアウトプットしつつ、当事者の方と接する機会をバリアフリーについてより具体的・現実的な解決方法を考えるための場として活用しました。

自分の住む地域へ目を向ける

学校のバリアフリーについて学んだ児童が、自分の家や自分が住む地域に目を向け、誰もが暮らしやすい社会にするためにはどのようにすればよいか、自然とハードやハートの両面から考えるようになりました。また、児童が考えた意見を「みんなで実現できるよう提案してみよう!」と声がけすることで、いきいきとした学習への意欲も引き出しました。

周囲の大人たちへの波及

学校のバリアフリーから始まり、自分の家や地域のバリアフリーへと視野を広げていくことで、親や身近にいる大人とも学んだことや考えたことを話す機会が生まれました。その結果、周囲を巻き込んで障害や共生社会に対して考えるきっかけを創出しました。

担当の先生へお話を伺いました

受賞した感想をお聞かせください

世界で新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、この東京2020パラリンピック大会自体も開催が危ぶまれましたが、このようなすばらしい賞をいただくこととなり大変光栄に感じています。取り組み始めた当初は、賞をいただけるようになるなんて思っていなかったので、本当に驚いています。継続して続けたことで、パラリンピック教育がもつおもしろさや魅力を自分自身、知ることができました。受賞にあたり、一緒にパラリンピック教育を進めてくれた同校職員や関係者のみなさま、そして何よりも一緒に学習をした子どもたちに心から感謝しています。ありがとうございました。

『I’mPOSSIBLE』を使った授業やパラリンピック教育に取り組んで、子どもたちにはどんな変化がありましたか?

まず子どもたちに見られた変化として、障害のある方への見方が変わりました。それまで障害があるというのは「かわいそう」といったネガティブなイメージが先行しましたが、パラリンピックの競技映像を見て、そういったイメージが一度で払拭されます。「すごい」「カッコいい」などポジティブな印象へと変わっていきます。そして、競技や用具の工夫、アスリートの努力や勇気にふれ、自分の良さや可能性に気づき、みんなが住みやすい社会の実現に向けて「自分にできることはないか」という考え方ができるようになりました。

これからのご自身の活動やパラリンピック教育にかける思いをお聞かせください。

東京2020パラリンピックが終了したこれからがパラリンピック教育の本当のスタートだと感じています。大会そのものは、ほとんど無観客での開催となりましたが、多くの人がパラリンピックの工夫を目にし、アスリートの努力や競技の魅力について気づくことができたと思います。その工夫や気づきから子どもたちと共に学び、社会全体の変革の一端を担う児童・生徒の育成が自分に与えられた役割です。この学びの機会を一過性のものにすることなく、『共生社会が実現する日』まで教育現場で継続的に取り組んでいき、自分の役割をしっかりと果たしていきたいと思います。

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